民間マイナンバーにも「法的規律」が必要

マイナンバーの議論では「プライバシーが脅かされる」という意見を目にします。しかし「(公的)マイナンバー」とは別に、私たちは多数の企業から番号を割り振られ、その一部はさながら「民間マイナンバー」ともいうべき機能をもって、すでに普及しています。

たとえば携帯電話には1台ずつ固有の「端末ID」が割り振られています。ネット上にはこの端末IDで利用者の認証を行うサービスがあります。またコンビニやレンタルビデオ店などで利用する「共通ポイントカード」には顧客番号が割り振られているのです。

では公的マイナンバーと民間マイナンバーには、どのような違いがあるのでしょうか。図表にまとめました。ここでは「(1)悉皆(しっかい)性」「(2)唯一無二性」「(3)利用期間」「(4)利用範囲」という4つの軸から番号の性質を整理しています。ここでの番号とは本人と1対1に対応する「識別子」という意味です。そのうえで、番号の「(1)悉皆性」とは母集団のなかでどれだけの人がカバーされているか、番号の「(2)唯一無二性」とは1人に対して重複していないかを示します。さらに番号の「(3)利用期間」が長くなるほど蓄積される情報の量は増え、番号の「(4)利用範囲」が広くなるほど蓄積される情報が多様になる傾向があり、プライバシーへの影響が増大します。