免許証代わりの身分証明にはなるが
マイナンバーの通知カードと一緒に送られてくるのが、写真付き証明書としても使えるという、個人番号カードの交付申請書。自分の分はともかく、妻や子供、老親の分まで申請する必要がどこまであるのだろうか。
「個人番号カードの当面の使い道は、大きく分けて2つです」と、電子政府コンサルタントの牟田学氏は言う。まず、公的な身分証として。そして、カードのIC(集積回路)に記録された電子証明書を使った、ネット経由などでの本人確認だ。
まずは公的証明書としての機能から。携帯電話の契約や銀行口座の開設など、写真入りの身分証明書を求められる機会は意外に多い。運転免許証を持たない家族にとっては、個人番号カードが有力な選択肢となる。
次に、電子証明書を使った本人確認(公的個人認証)だ。たとえば、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を使ってオンラインで確定申告をしている家族がいる場合は、これまで使用してきた住民基本台帳カード(住基カード)に代えて、個人番号カードに格納された電子証明書のデータを使うことができる。これまで一部の自治体が住基カードで行っていたコンビニでの住民票や印鑑登録証明書の発行も、今後は個人番号カードで受けられる。
電子証明書を使った「公的個人認証サービス」は、2016年1月から民間にも開放される予定だ。今回の個人番号カードでは、これまでの「署名用電子証明書」に加え、氏名などの個人情報を含まない「利用者証明用電子証明書」も用意されており、各種ネットサービスのログイン処理に利用しやすい配慮がなされている。17年1月にオープン予定の専用サイト「マイナポータル」へのログインにも、個人番号カードが必要だ。
将来的にはカードの記憶領域を活用し、他のさまざまなカードの機能を個人番号カードに持たせることも検討されている。現在考えられているのは、健康保険証や図書館カードなどとの兼用化や、災害時の安否確認での利用だが、いずれはキャッシュカードやクレジットカード、各種ポイントカードなどの機能を、1枚の個人番号カードに集約できるようになるかもしれない。