京都市はカードブランドのVISAとも連携を進めている。

「買い物による消費額をさらに高めるため、まずはアクセプタンスマークを普及させようと<Welcome to KYOTO>と書かれたステッカーを作り、お店に貼っていただいています。また、3000円以上 VISAカードで買い物をした方に抽選で、京都の伝統産業品が当たるというキャンペーンを行いました。京都の伝統産業品のよさを、外国人にも知ってもらおうという狙いです」(前出・寺田さん)

6月からはヤマハと国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が共同研究を進めているアプリ「おもてなしガイド」を活用した大規模な官民連携プロジェクト「京都Sound UDプロジェクト」が始まった。これは駅やバス、文化施設やデパートなどで流れるアナウンスを、ほぼリアルタイムで8カ国語に文字情報化する実証実験だ。外国人観光客はもちろん、バイブ機能もついているので、聴覚障害者や耳の遠くなったお年寄りにも便利なサービス。いわば音によるバリアフリーのインフラだ。

(1)京都オリジナルVISAカードのアクセプタンスマークのステッカー。(2)官民連携で行う実証実験「京都Sound UDプロジェクト」の記者会見での門川大作京都市長(中央)。(3)アプリ「おもてなしガイド」が日本語で流れるアナウンスを言語化。(4)「おもてなしガイド」は8言語に対応。

「結局、住民が暮らしやすいまちにしていくことが、観光客にも満足度の高いまちになるのでしょう。京都市は財政も厳しく行政だけではできない部分も多いので、民間企業等とうまく連携して、双方にメリットがある関係を構築しながら、いろんな取り組みを進めていきたいですね」(前出・寺田さん)

全国に先駆けて京都市に観光課が設置されたのは昭和5年。感動していただいたこと、楽しんでいただいたことはさらに伸ばし、不満や残念に思われた部分は徹底的に改善するというのが京都のプライド。地方創生が叫ばれる昨今、やはり京都に学ぶことは多い。

(ノーチラス工房=撮影 PIXTA=写真)
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