モチベーションを上げる「家族会議」

変動費を月10万円とした場合は、30日の日割りにすると、食費など1日に使えるお金は3333円になります。余裕をみて3000円にしておけば、多少オーバーする日があっても、月末には調整が可能になります。ここで大事なのが1日3000円という金額を頭に叩き込み、変動費の中の支出をカレンダーやスケジュール帳に書き込んでいきます。1週間単位で3000円×7日間=2万1000円と実際の出費を比べます。最初は計画内に収められなくても、どこかで使いすぎれば、どこかで節約する。メリハリを利かせることで予算に収まるようになります。

「アメーバ経営」の肝の一つが、末端の社員レベルまで「フィロソフィー」を浸透させ、「全員参加型経営」の実現のために「部門別ミーティング」を徹底すること。リーダーが、自分たちの部署は会社にとってどのような存在価値があるのかを含め、今後の進む方向性を自らの言葉で示し、目標達成に向けてメンバーの士気を高めるのです。

フィロソフィーは哲学なので、数字を読み上げるだけでなく、改善に向けた熱意を伝えることが大切です。組織をまとめ、モチベーションを上げるうえで大変重要なことです。家庭でも定期的に「家族会議」を行い、家計改善へのモチベーションを上げていきましょう。

「アメーバ経営」による部門別ミーティングでも、現場の担当者が感じる些細な問題や提案は積極的に取り上げられますが、家族会議も同様です。

「車のガソリン代がかかりすぎるので、買い物は健康のためにも自転車で行こう」といった些細な提案でもかまわないし、家族旅行とテレビの買い替えのどちらを優先するのかを話し合うこともいいでしょう。

「家計の責任者の一人である」という意識を持たせるためにも、家族会議では家計簿や預貯金の残高など資産状況を家族全員に公開して議論することがポイントです。

部門別ミーティングと家族会議の進め方

【アメーバ式部門別ミーティング】

▼実績の内容分析と前月の反省を語る
・目標の達成状況や結果をフィードバック

▼実績課題、問題点の提起、意見の吸い上げで改善策を検討する
・現場担当者が困っていることなど、小さなテーマでも拾い上げる

▼実績当月予定の内容と取り組み課題を示す
・数字を読み上げるだけでなく、リーダーの熱意もメンバーに伝える
・何をどのようにすれば達成できるのかをできるだけ具体的に伝える
・目標の達成が部門、会社に貢献するイメージを全員が持てるようにする

▼実績目指す自部門のビジョン・夢を語る
・自部門の存在意義や目指したい目標、姿を自らの言葉で語る

【家族会議の進め方】

▼実績家計簿や予算管理表を見ながら、目標の達成結果を家族に伝える
・よく見える場所に予算管理表を貼る

▼実績家計の管理で困っていることや提案を妻(夫)から家族に伝える
・「お父さんの小遣いの前借りが困る」など、犯人探しにならぬよう、かつ具体的に話す

▼実績今月どんなイベントや支出があるか、それをどう乗り越えるか方針を示す
・「○○の受験のためにみんなで協力しよう」など、「家族全員のイベント」をアピール

▼実績将来を予想しながら、ライフプランシートを記入する
・「5年以内に頭金を貯めて一戸建てを購入」など、各自が目標を語る。子どもがいれば、受験、進学にいくらかかるかなど、子どもにもわかるように説明する

ファイナンシャル・プランナー 藤川太
慶應義塾大学大学院修了。自動車会社などを経て「家計の見直し相談センター」設立。生活デザイン社長。相談件数は1万5000件を超える。
 
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