子育てに悩んだら、鼻歌まじりで「肉を焼こう」
▼「無気力化した子」を見事再生させる親の共通点2
【何かに迷ったら、においで育てる】
私が憧れている女性に料理研究家の坂井より子さんがいる。彼女は言う。
「家の中に“おいしいにおい”を漂わせておけば、子どもは自然といい子に育つ」と。
つまり、玄関を開けると鰹節の出汁のにおいがしたり、クッキーを焼いているバターのにおいがしたり、夜、布団にもぐったらお日様のにおいがするということを指す。
働きながら家事も育児もこなす多忙な「お母さん」には酷な話ではあるが、この話はひとつの真理を語っているとも思う。
子育ては言葉よりも、日々の空気感の方が圧倒的に子どもの深層心理に残るのだ。記憶の中にあったかく、やさしく、守られていたというピースが多い人は間違いなく幸せだからだ。
それを踏まえて、もしあなたが子どもの態度に思い悩んでいるならば、こうすればいい。
「何も言わずに肉を焼く」
親が口を開くとロクなことにはならない。ならば、黙って肉を焼こう。もし、どうしても我が子と会話したいなら、こう言えばいいのだ。
「ねーねー? 今日は何肉、食う?」
ここで母が「狐? 狸? それとも馬? 鹿?」くらい言えたら最高だ。あなたが缶チューハイ片手に鼻歌まじりでフライパンの肉を炒められるようになったなら暗闇からの脱出は間もなくだ。
▼「無気力化した子」を見事再生させる親の共通点3
【条件を付けない】
かつて名門高校から追い出された生徒が私にこう言った。
「俺の親は○○高校に在籍している俺が好きであって、○○高校の肩書が消えた俺はいらない存在なんですよ」
また別の名門校をドロップアウトした生徒はこう言った。
「俺、親父からこのまま家に引きこもっているなら20歳で追い出す。野垂れ死にでもするんだなって言われたんですよ。だから、俺、20歳になったら自分で死にます」
人より優れている子が欲しい、あるいは世間体の悪い子はいらないという発想の親の子育ては迷走する。
まず、我が子が存在して、それから初めて条件が付くのだ。その“優先順位”がわかっていない親は案外多い。先に条件ありきになると、我が子は自らその存在すらも消してしまうだろう。