東大志望者の敗者復活戦になった!?
北野は1984年の京大合格者数ランキングで1位になるなど、かつてはトップの常連校だったが、1990年以降に低迷期があった。そこから合格者が伸びた要因として、2011年に大阪府が、同校を通学区のない、進学に特化した文理学科を設置するグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)に指定したことにある。この影響もあり北野の京大合格者数は、06年と比較して19人増。GLHSには、北野の他にも7位の天王寺、14位の三国丘、22位の茨木など10校が指定されている。文理学科は各校4クラスだが、16年から北野と天王寺は普通科を廃止し全クラスが文理学科になった。大阪府立校のトップ2が学校全体で進学に特化することにより、京大合格者がどれだけ増えるのか注目される。
堀川は2001年の京大合格者が0人など合格実績が低かったが、1999年、京都府全域から募集可能な専門学科である探求科の設置を期に合格者数が増え、2006年との比較では30人増。このほか京都の公立校では17位の西京がエンタープライジング科、57位の嵯峨野が京都こすもす科と呼ばれる全府から募集可能な専門学科を設置。36位の洛北は附属中学を開設し中高一貫教育を実施することにより、京大合格者が増えている。
5位の洛星はかつて100人以上の京大合格者がおり、ランキングトップになったこともある学校。医学部志向の強まりが合格者減の要因と見られるが、洛南と洛星という京都のトップ私立校の合格者減は、公立校の合格実績の伸びと無関係ではないだろう。
京大の地元占有率が低いのは、首都圏の学校の合格者が増えている影響もある。1都3県で10人以上合格者がいる学校は、06年の麻布1校のみから16年は10校に増えた。中でも33位の女子学院は、前年の4人から18人と大幅増だ。ランキング50位以内には、12年から毎年10人以上の合格者がいる40位の西と、前年より6人増の千葉(県立)が入っている。首都圏の志望者が増えているのは、京大の自由な学風を好む受験生が増えていることに加え、東大が教養学部を経て専門の学部が決まるのに対し、京大は入学時に学部が決まることも影響しているようだ。
さらに、京大の入試制度の変更も首都圏の合格者が増える要因になっている。16年入試から京大は推薦やAO入試などで学生を募集する特色入試を導入し、これに伴い法学部は後期試験を実施した。これまで前期のみだった京大で唯一の後期実施学部になると同時に、推薦の導入で後期を廃止した東大志望者の受け皿にもなった。法学部・後期の地域別の合格者数は、1都3県の学校が6人で2府4県は7人とほぼ同数。首都圏の東大志望者の敗者復活戦になったようなのだ。
ランキング上位校の医学部志向の強まりや大阪や京都の公立校の合格実績アップ、他地域からの合格者増など、様々な要因により京大の合格者数ランキングは変化している。