国民皆保険制度で医療費は低く抑えられているが……

利用者の負担を軽減する仕組みとして、イメージしやすいのは医療保険でしょう。通常は健康な人でも医師の診療を受けることはよくあります。歯が痛くなれば歯科医院に駆け込みますし、高熱が出れば内科医へ。事故で負傷をすれば病院に担ぎ込まれます。それが、よほどの難病や重篤な症状でない限り、バカ高い診療代を請求されることはありません。

ちょっとした不調なら数千円で済む。医療保険のおかげです。

日本では1961年に国民皆保険制度が敷かれました。会社員は会社の健康保険に、公務員は共済保険に、組織に所属していない人は国民健康保険に、とすべての国民が公的医療保険に加入していることになっています。

国民全員が保険料を払うことによって、病気やけがをした時は誰でも少ない負担で医療を受けられる。互いの医療費を支え合うのが国民皆保険制度です。

この制度での自己負担割合は未就学児2割、6歳~69歳が3割、70歳~74歳が2割、75歳以上が1割。つまり高齢者を除く大半の人が3割負担ということになります。

3割負担ということは1万円の医療を受けた場合、患者が支払うのは3000円で、残りの7000円は医療保険で賄われることになる。1000円くらいの請求だった時は、3000円ちょっとの医療を受けたことになります。病院の窓口では保険証の提示が求められますが、それによって、この恩恵が受けらます。

患者の側は受けた医療の金額がいくらなのかを知ることはまずありません。が、制度で定められた額だろうし、それによって病気やけがを治してもらえるし、それほど高くもないし、ということで支払うことになるわけです。