自宅改修など介護の一時費用の平均は80万円

次に想定しているのは、週3回のデイサービス。

「デイサービスのメリットは入浴できることと、その間はご家族が介護から解放されることです。これが1回、1800円くらい。週3回ですから月に12回。これで2万1600円です。なお、1800円のうち介護保険が適用されているのは800円の部分で、1000円は昼食代やタオルなどの日用品代です。ホームヘルパーに家事(生活援助)に来てもらう必要も出てきます。1時間250円ほどで1日2回来るとすると500円。1カ月で1万5000円ほどになります。整理すると、ベッドと車椅子で2000円、デイサービスで2万1600円、ヘルパーさんで1万5000円。月に合計3万8600円でだいたい4万円というわけです」(Iさん)

ただ、これは介護サービスの費用だけで、これだけで収まるとは限りません。自力でトイレに行くことが難しい場合は紙オムツを大量に買う必要がありますし、ウエットティッシュなど細かな買い物も出てきます。

「加えて医療費がかかります。ご家族が運転するクルマで通院できる状況にある方はまだいいのですが、福祉タクシーに頼らざるを得ない方は大変。福祉タクシーの料金は介護保険の適用外ですから、病院までの距離にもよりますが、片道で5000円ぐらいかかることもあるのです」(Iさん)

このように出費はどんどん増えていくわけです。

参考までに、データを紹介しよう。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年度)で過去3年間に介護経験がある人に聞いたところ、介護を行った期間(現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間)は平均59.1カ月(4年11カ月)。4年以上介護した割合も4割を超えていた。

また、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均80万円、月々の費用が平均7.9万円だった(10万円以上が約30%)。