「知らなかった」では後の祭り
一口に介護費用といっても、介護保険が適用され1割の自己負担で済むサービスの利用額だけではありません。デイサービスの食事代やおむつ代、ショートステイの部屋代などさまざまな費用がかかります。「ヘルパーさんが来るからみすぼらしい格好は……」とパジャマを新調することもあるでしょう。介護が始まると、思った以上に出費がかさむものです。
究極の節約術はすべて自分たちで介護することですが、これは絶対にお勧めできません。家族が共倒れになるからです。共倒れになると、仕事をしている方なら何百万円、何千万円という将来の収入を失ううえに、医療費がのしかかってきます。自前で全部やろうとは思わないほうが賢明です。
実は、介護費用の節約にはいろいろな方法があります。たとえば介護保険サービスの中身を変えず、費用だけ減らす方法。
介護保険が適用される金額は要介護度に応じて決まっており、その枠内に収まらない金額は全額自己負担になります。ところが2012年から始まった定期巡回・随時対応型訪問サービスの料金は、1カ月いくらの定額制。つまり、ヘルパーさんに何回来てもらっても負担金額は変わりません。こうした定額サービスはほかにもあるので、ケアマネジャーと相談しながらうまく使うと、サービスの質・量を落とさず見直しができるのです。
福祉用具も見直す余地があります。車いすや杖などいろいろなものが福祉用具としてレンタルできますが、借りても使用せず玄関でホコリを被ったままというご家庭をよく見かけます。こうした必要のない出費は見直しましょう。塵も積もれば山となります。
実際に使っている福祉用具でも、レンタル料はまちまちです。たとえばベッドはひと月1万円から2万5000円くらいまで幅があります。これを高いほうから安いほうに替えると、1割負担の差額は月額1500円。年間1万8000円の違いになります。
同機種であっても業者によって費用が異なる場合もあるので、レンタルするときは複数の業者から見積もりを取ることです。