もう1つ、最近、私がチェックしている新商品はペットフードです。ヘルスラボというペットフードに食用油エコナのマークを付け、「エコナと共同開発」とうたって、店頭に並べています。この製品は脂肪を代謝させて愛犬をメタボから救うものですが、エコナという既存ブランドを活用しました。だからといって、ペットフード自体にエコナというネーミングは使っていません。食用油とペットフードの名前が同じと聞いたら、嫌だなと感じる人もいるだろうと考えたからです。お客さまの立場に立って配慮をしつつ、既存ブランドの力を借りた商品というわけです。
何の考えも持たず現場を歩いても得られるものは多くありません。まずは今、どんなことが解決すべき問題か、仮説を携えてから現場に行くことが大切です。調査の結果や、社内のマーケッターが持っている情報などを頭に入れたうえで一度考えてみる。例えば、「新商品が思ったように売れないのはなぜか」「自分の担当した商品だけクレームが多いのはどうしてだろう」といった問題意識とそれに対する解決策という仮説を、自分の頭の中で一度立ててから現場に行くのです。そうすると、何を重点的に見るべきかが見えてきます。
私が今、立てている仮説はこうです。経済が停滞している時期にまったく新しいブランドを市場に投入しても、商品の売り上げが鋭角的に伸びていくとは考えにくい。不況の時期は既存ブランドのイメージを活用し、それに付加価値をつける投資が効率的だと思っています。
例えばアタックという洗剤であれば、「汚れが落ちる」という今までのイメージを活用したうえでもっと高い価値の製品を開発する。エコナであれば、「ヘルシー」というイメージをペットフードに付与して市場に投入する。そうした細かい手法で既存のブランドを伸ばしていくべきなのです。
ですから今は、そういった付加価値の高い新商品を重点的に見つつ、売れ行きはどうか、何か改善点や問題がないかを確認しに店舗に足を運んでいます。仮説を考えてから赴くからこそ、現場に落ちている問題点や解決策のヒントに気がつくのです。