──差別化はどのように進めるか。
【西澤】我々は従来の保険業中心のビジネスから、「安心・安全・健康」のサービス産業へとビジネス領域を変えることに取り組み始めている。介護事業をはじめ、商品の延長保証や、住宅のリフォームなど、グループ会社を通じて総合的なサービスを展開していく。
──新規分野への参入は難しいのでは。
【西澤】我々は保険会社として自動車、住まい、そして人に関するサービスを提供してきた。新たな事業はいずれもその延長上にあるものだ。自動車については自動車保険に加え、故障したときのロードサービス、優良整備工場のネットワークなどをつくってきた。住まいについては、火災が起きた後、お客様がリフォームをどこに頼んだらいいかわからないという声が多かったため、リフォーム会社を買収した。介護事業についても、社会のインフラを支える事業として取り組んでいる。
──社員に期待することは。
【西澤】デジタル技術は積極的に活用しないといけないが、それだけでは他社に追いつかれる。本当の意味で差別化につながるのは、やはり現場力だ。当社には全国に約1000の課支社、保険金サービス拠点がある。一つ一つの現場が「お客様のために何ができるか」を本気で考えチャレンジしていくことが重要だ。そのために、経営も現場重視に変革していく。
1958年、東京都生まれ。80年慶應義塾大学経済学部卒業後、安田火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)入社。2008年損保ジャパン執行役員営業企画部長、13年取締役専務執行役員、15年代表取締役副社長などを経て16年4月より現職。