第二車体工場では、プレス加工された各部パネルが組み立てられていく。高い精度が要求される工程で、自動化がかなり進んでいる。

日本のものづくりは、コスト低減を進めるための効率と品質を両立させてきたのが特徴だ。たまたま、最大手のトヨタが大規模なリコールを行ったため、世界のなかで「メード・イン・ジャパン」の品質面のブランドを大きく失墜させてしまっている。だが、多くの日本企業は、トヨタと同じ“体たらく”ではない。

生産現場は、試行錯誤でコストダウンに挑み、同時に高品質を維持させながら、基本となる人を育てている。

サプライヤーの工場入りという新しい取り組みへの対応、日々のコスト削減、そして高品質である「インフィニティ」ブランドの信頼性への限りない確保を支えるのは人なのだ。

だが、人材育成の目的はこれだけではない。新しい流れが、栃木工場に訪れようとしている。今秋には、高級車「フーガ」のハイブリッド車(HV)が発売される。以後、栃木工場で生産されていくのだ。

昨年日本で一番売れたものの、現在問題になっているトヨタ「プリウス」、国内販売5位だったホンダ「インサイト」は、HVではあるが旧世代のニッケル水素電池を使用している。これに対しフーガHVは、小型で高容量のリチウムイオン電池が搭載される。

電池は日産とNECグループが共同でつくりあげたもので、電極は組成が安定しているマンガンを使用。リチウムイオン電池は、三菱自動車工業やスバル自動車の電気自動車(EV)で搭載された。が、本格的に量産されるHVとして実用化されるのは、フーガが世界で初めてとなる。