「ものづくり品質世界一」を目指す人づくり
コスト削減や効率以上に担保しなければならないのは、日本製であるがゆえの高い品質を担える人である。
栃木工場が生産しているのは、高級車ばかり。「フーガ」「GT-R」「フェアレディZ」「スカイライン」「インフィニティM」など。つまり、日産が海外で展開している高級ブランド「インフィニティ」を生産するのが、栃木工場なのだ。だからこそ、栃木工場は「ものづくり品質世界一を目指す」という方針を脈々と受け継いでいる。
ちなみに、インフィニティの競合車は、メルセデス、BMW、アウディなどの欧州車、トヨタ自動車のレクサス、ホンダのアキュラといったところ。
工場の生産部隊は、現在4430人。平均年齢は約44歳で、プロパー率は100%だ。生産能力は年間22万台に対し、09年度の生産台数は15万台前後の見込みである。
こうしたなか、4430人を対象に、5段階に分けた教育体系をつくり始めている。「インフィニティ」の品質を守るための、知識、意識、技能をレベル分けし、下から、入社2~3年の「インフィニティIレベル」「同Lレベル」「同Uレベル」「高技能者」、そして最上位は「マイスター」という序列をつけている。
マイスターは、「インフィニティ・クオリティ」を語れるだけではなく、作業者の指導もできる位置付けだ。
「マイスターには(生産現場の最上位である)係長クラスのなかの数人がなるでしょう」と高岡は話す。人員構成としては、LレベルとUレベルとが大半を占めるそうだ。
このように、「ものづくり品質世界一」を支える人間をつくるため、技能領域の定義を明確にし、それに基づいた教育を進めている。5段階の教育モデルは、いずれ世界の工場へと発信していく方針だ。