「ワイパー1本」の車が既存メーカーの脅威に

新車が日本円換算で約22万円――。インドのタタ自動車が発売した世界最安車「ナノ」である。運転席側にしかドアミラーがなく、ワイパーは1本。コストを抑えるため簡素な作りになっているのが特徴である。

「ナノ」は今後、自動車業界において、既存メーカーにとっての脅威となるだろう。クリステンセンが述べた「破壊的イノベーション」となる可能性があるからだ。

クリステンセンは、優良経営として称賛された多くの企業が新興勢力との競争に敗れ、凋落していった事実に対して、「すぐれた経営こそが、業界リーダーの座を失った最大の理由である」と指摘した。顧客の意見に耳を傾け、最も収益率の高いイノベーションに投資配分したからこそ失敗したのだ、と。

(構成=宮内 健)