東京都が今すべき「頭と体の格差」解消策

データでみても、スポーツの習い事や運動の実施率は、家庭の年収と相関しています。図3は、そのグラフです。登山・ハイキングは、学校の遠足などによるものは除きます。

ご覧のように、右上がりの傾向がみられます。スポーツの習い事の代表格は水泳ですが、それをしている12歳児の割合は、年収200万未満の家庭では9.5%ですが、年収800万以上では15.6%となっています。

家族ぐるみの登山やハイキング実施率も階層によって異なるようで、年収300万未満の家庭では9.7%、年収1500万以上では21.6%と、倍以上の差があります。こうみると、図1の地図の模様もうなづけます。

家庭環境とリンクした学力格差はよく知られていますが、体力格差の問題にも注意を払う必要がありそうです。サンマ(時間、空間、仲間)の減少により、子どもの自発的な外遊びが減っている(難しくなっている)のですが、3つの「間」のうちの「空間」は、公的に用意する努力がなされるべきでしょう。

学校教育法第137条は、「学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる」と定めていますが、こうした学校開放を進めるのも、一つの策です。土日や祭日、広い校庭や体育館をガラガラにしておくのはもったいない。

開放時間中の管理は、地域住民の協力を得てもよいでしょう。これから先、自地域で余暇を過ごす退職高齢者などが増えてきます。その中には、教員OBなど、教育に関する識見を持った人材もいるかと思います。近年、学校と地域社会の連携の必要がいわれていますが、今述べたことも、その具体的な姿のひとつといえるでしょう。

また、子どもの体力と家庭環境の関連に関する実証データの提示も求められます。ここでお見せしたのは、地域単位、それも東京都内23区という局地のデータです。それがどれほど一般性(普遍性)を持つかと問われたら、心もとないものがあります。

2013年度の全国学力テストでは、対象児童・生徒の家庭環境も調査され、年収が高い家庭の子どもほど教科の正答率が高いという、衝撃の事実が明らかになりました。

全国体力テストでも、同じ分析がなされることを希望します。大規模な個票データにて、家庭の経済力と体力の関連が実証されれば、体力格差の解消に向けた政策を支持するエビデンスになるでしょう。

なお、学力格差や体力格差に加えて、健康格差という現象もあります。子どもの健康不良も、家庭の経済力と関連している可能性があります。この点についても、回を改めてデータを紹介しようと思います。

(図版=舞田敏彦)
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