すでにリスクを取って運用していても、商品を買っただけで満足してしまい、その後は長期投資ならぬ「長期ほったらかし」の人もいるだろう。運用成績がマイナスの人もいるかもしれない。それは長期投資という呪縛にとらわれているからだ。損をするのは、売るべきときに売らないことが原因といえる。

そもそも、相場は動くものだ。退職時に運用がプラスになっているとは限らない。だからこそ、上がったときには売って利益を確定して、元本確保型商品で様子を見て、下がったときに買う。こうした経験を積むべきだろう。

今現在、運用成績がマイナスなら、保有商品の過去の値動きをチェックし、思い切って売却するのも一法だ。また、リスクを抑えるには分散投資が大切だが、投資に慣れていない段階では、商品を1つか2つに絞って投資してみるのもいい。そうすることで損も儲けも体感でき、自分のリスク許容度もわかってくる。その商品を買ったことで、より経済に関心を持ち、金融商品のしくみも理解できるようにもなるはずだ。

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なお、確定拠出年金とそれ以外の金融資産を分けて考える人も多いが、資産運用は金融資産全体で考えることが必要だ。確定拠出年金ではリスク商品を中心に運用しているなら、それ以外の部分は元本確保型商品が中心でもいいだろう。その逆でも構わないが、確定拠出年金は掛け金にも運用益にも受け取り時にも税制優遇があることから、できればリスクを取って運用することを考えたい。

ファイナンシャルプランナー 深田晶恵
外資系電機メーカー勤務を経てFPに転身。保険商品、金融商品を販売しない独立系FP会社、生活設計塾クルーのメンバーとしてコンサルティングを行う。『共働き夫婦のための「お金の教科書」』など著書多数。
(構成=大山弘子)
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