会社を辞めれば自由を感じる一方、病気や老後への不安も募る。医療保険や個人年金に多めに資金を投じるべきなのだろうか。

自分で手続きをしよう

独立・転職や家庭の事情のため、定年前に会社を去る人は少なくない。会社員時代に比べれば時間は自由、それなりの退職金も手元にある。少しはのんびりできるぞと思いたいところだが、実際には「不安で落ち着かない気持ちになる」と経験者は口をそろえる。

特に心配なのが病気と老後。職場の健康保険から抜けることになれば大病をしたときの保障が心配だし、年金にしても、厚生年金から国民年金に切り替えれば将来の受取額が減るのは確実だ。心細さを覚えるのも無理はない。

そんなとき、魅力的に映るのが民間の医療保険やがん保険、個人年金保険といった保険商品だ。いざ病気になったとき、入院時の給付金や、がん診断一時金が受け取れるのはありがたい。個人年金についても同様だ。

しかし、給付を受けるには毎月それなりの額の保険料を払い込まなくてはならないうえ、民間保険は税制面で優遇されているとはいい難い。

となると、会社を辞めたあと本当に必要な保障とは何なのか。経験豊富なファイナンシャルプランナー(CFP)で、社会保険労務士の望月厚子さんに指南をお願いした。

「まず覚えておいてほしいのは、会社を辞めてしまえば、社会保険関連を含めて諸々の手続きをすべて自分でしなくてはいけないということです。こうした手続きには申請期限が設けられていることが多く、うっかり期限を超過してしまうと必要な保障が受けられなくなるおそれもあるのです。何をいつどの窓口に申請するかを、退職前にきちんと確認しておくことが大事です」

日本の会社は従業員個人の社会保険料や所得税、住民税の支払いを代行しているため、多くのサラリーマンは確定申告の経験もなく窓口手続きに不慣れだ。そのため、まずは「自分で手続きすること」を習慣化することがスタートラインになる。