また、公的年金には障害年金がある。病気やけがで障害が生じたときに年金や一時金が受け取れる(図2)。特殊で重篤な症状を思い浮かべがちだが、実際には「がんやうつ病などさまざまな病気によって日常生活や労働に支障が出ているときは、障害年金の対象になることがあります」(望月さん)。
しかも、初診日が在職中だった場合には、厚生年金から障害厚生年金が出るため、国民年金(障害基礎年金)だけのケースよりも高額の年金が支給される。そのうえ労災と認められれば、公的年金の障害年金に加えてより手厚い保障を受けられる。その際、判断の基準になるのは初診日である。だから「体調がすぐれなかったら、念のため在職中に診察してもらうことをお勧めします」と望月さん。
こうしたセーフティネットの存在を確認したうえで、公的保障に上乗せを望むなら、国民年金に上乗せする形の「国民年金基金」や、個人型の「確定拠出年金(401k)」を利用するとよい。また、個人事業主として独立してやっていくなら、中小企業基盤整備機構が運営する「小規模企業共済」も役に立つ(図3)。いずれも所得控除などの形で税制上の利点があるので、所得に余裕が出たところで、これらを検討するのがいいだろう。