鍵になるのは「離職理由」

肩たたきされて長年勤めた会社を辞めることになったとしましょう。このとき必ず確認してもらいたいのが離職票の「離職理由」。というのも、「会社都合」か「自己都合」かによって、失業手当の給付総額が変わるからです。

失業手当の給付総額は、退職前の給料をもとにした単価と、給付日数の掛け合わせで算出されます。給付日数は雇用保険の加入期間(勤続年数)と離職時の年齢、離職理由によって決まります。鍵になるのは、離職理由。自己都合は会社都合より給付日数が少なく、最終的に給付総額が減ってしまいます。

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会社都合と自己都合では失業手当の支給日数がこれだけ違う

10年勤めた35歳の人が退職したケースで考えてみましょう。月給30万円なら、失業手当の日額は約5700円です。自己都合の場合、給付日数は120日なので、給付総額は68万4000円。一方、会社都合なら給付日数は240日で、給付総額は136万8000円。自己都合と会社都合では、約70万円の差がつくことになります。

すぐ次の仕事が見つかりそうな人も無関係ではありません。会社都合はハローワークで手続き後7日間の待機期間を経て給付されますが、自己都合はさらに3カ月の受給制限期間があります。たとえば退職2カ月後に転職した場合、会社都合なら7週間分もらえるのに対し、自己都合は1円ももらえないことになります。

こうした差を考えると、労働者にとっては離職理由が会社都合のほうが有利です。一方会社側は、会社都合の離職が多いと各種助成金がもらえなくなる恐れがあるため、自己都合で辞めてもらいたいのが本音。そのため会社から実質的な解雇通告をしたにもかかわらず、自己都合で処理されるケースが続出しています。