一方、休職時のソーシャルネットワーキングには注意したい。療養中に他人の楽しそうな姿を見せられても、落ち込む要因となるだけだ。また、調子がよくてランチやディナーに出かけた、などと、自分の近況を書き込むのも控えたほうが無難だろう。
「最近、会社によっては復職の判断材料にフェイスブックなどを利用するところもあります。休職手当をもらって、あちこちで飲み食いしている、なんて知ったら怒り心頭に発しますよね。休むということは、他の社員に少なからず負担をかける。行動には注意が必要です」(桜井氏)
【2】通院中の働き方と、必要な経費
職場に復帰したら、「仕事をする自分」から「仕事もする自分」へと変わろう。桜井氏はそうアドバイスする。
「がんになる前のように戻りたいと願っても体力的に難しい部分があるかもしれません。しかし、それは挑戦してみないとわかりません。想像で足を止めるのではなく、どこまでできて、どこができないのかをシミュレーションするといいでしょう」
仕事は優先順位を決め、他の人に任せられる部分があれば助けをお願いしてみる。明日やればいい仕事は明日に回す。そんな働き方がいいそうだ。
ただ気になるのが治療費だろう。
乳がんが見つかってから8年半の間に桜井氏が払った手術代や薬代などは、総計約430万円(図を参照)。月額にして4万円強。治療費や薬代以外の備品(かつら代など)が意外にかかり、ボディブローのように家計に響いてくる。
会社員なら、傷病手当金が出るか確認し、さらに高額療養費制度の利用、確定申告で医療費を取り戻すことなどが大事になる。
1967年、東京都生まれ。30代でがんの診断を受ける。自らの経験や社会経験から小児がんや働き盛りのがん経験者支援の必要性を感じ、患者・家族の支援活動を開始。日本でのサバイバーシップを広げるべく、東奔西走中。