ブームは振り子が大きく振れたときに起きる

【塩田】橋下徹前大阪市長が昨年、維新の党を離党しておおさか維新の会を結成し、大阪府知事選と大阪市長選のダブル選挙を制した後、事前の宣言どおりにひとまず「政界引退」を実行しました。近畿選出議員の一人として、橋下氏とおおさか維新の会の動きをどう見ていますか。

【川端】それは民意ですね。大阪が昔は非常に活気があったのに、地盤沈下したという閉塞感が大阪全体にあり、それを打ち破ってほしいという潜在的なマグマが、ちょっと突っ突いたらボンと噴き出すということではないかと思います。

【塩田】ずっと熱心に地方自治改革や地域主権を唱え、大阪都構想を主張しています。

【川端】それで支持する人はいるでしょう。ですが、それはツールの一つです。手段を目的化して見てはいけないといつも思う。ただ、そこが非常にシンボリックになることはあります。このままでは大阪はえらいことになる、何とかせないかん、と思っているときに、これをやったらうまくいくやんかという人が出てきたら、何もせん人との比較になります。何もせんのはあかんやろ、と。ボンとやる言うたら、うまくいくかどうか、誰もわからないけど、何か頑張る、と言うてるんやったら、やってみたら、という感じが強いのかなという気がします。

小泉純一郎元首相の郵政民営化や民主党の政権交代の主張で、振り子が大きく振れたときと割とよく似ています。旧態依然でうまくいかないとき、ドーンといったら世の中が変わるぞと言う。時代や世の中を大きく変えなければというとき、歴史的にそういう思想が求められることがある。それが小泉元首相だったり橋下さんだったりという気がします。

【塩田】民主党では「解党・新党結成」による野党再編を志向する人もいるようです。

【川端】国会共闘、統一会派結成、選挙協力を経て、政党を一緒にという段階になると、一緒にするのに、テクニカルにはいくつかの方法があります。「瞬間解党」で継承政党を示して結集するという方法もあり、現在の民主党をつくったときも、その方法で各党を解党して新民主党を結成し、最後に岡田さん、枝野幸男現幹事長、私の3人で政策共有をして基本政策にまとめ、事務手続きとしてそれぞれ党の職員を全員、新党で雇用することに決めました。ですが、テクニカルの手続きの中から、一つだけ切り出して、これをしなければ、と言うのは、何なんだろうと思います。そんなことは関係ないでしょう。世の中をよくするためにどういう勢力として結集するかを考え、その後にテクニカルにどういう形がいいかを議論すればいい。

川端達夫(かわばた・たつお)
衆議院副議長
1945年1月24日、滋賀県蒲生郡(現近江八幡市)生まれ(現在、70歳)。滋賀県立彦根東高、京都大学工学部を経て、京大大学院工学研究科修士課程修了。東レに入社し、炭素繊維や逆浸透膜などの開発に従事する。東レ労働組合滋賀支部長を務め、当時の武村正義滋賀県知事(後に蔵相)の選挙応援がきっかけで政界入りを決意。1986年総選挙で民社党公認で初当選し、以後、落選を挟んで計10回当選(旧滋賀全県区・現滋賀1区・比例近畿ブロック)。民社党、新進党、新党友愛を経て民主党に。国会対策委員長、幹事長を歴任し、2009年に鳩山由紀夫内閣で文部科学相(菅直人内閣でも再任)、11年に野田佳彦内閣で総務相となる。14年12月に衆議院副議長に就任。壊れたものを直すのが趣味で、「何でも直します。不具合になったら、なぜ不具合なのか、調べたくなる」と話している。
(尾崎三朗=撮影)
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