今までの社会、特にビジネスや政治を支配してきたのは男でした。でも、もうそれも限界で、さまざまな場面で女性とうまくやっていかなくてはいけない。

例えば相手が女性やはるか年齢が下の若者で、向こうが自分の意見と違うことを主張してくる。そんなとき「それはおまえさんのわがままだよ」と思ってしまいませんか? 「自分には社会的な経験がある」「男なんだから」「地位が上だから」、自分の意見を通す権利があると思う。でも客観的に考えて、相手の意見を通したらビジネス上の不利益を被るのか? 自分は「相手を支配するために異をとなえている」のではないか? 否定することで相手より優位にたつことが癖になっていないか、1度考えてみたほうがいい。

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女性を無条件に男より格下と決めつけるからダメなんです

1番の処方箋は「1回負けてみる」ということです。

女性の理屈は自分とは違う。そもそも自分にはわからないんなら、あっさり白旗を揚げちゃうぐらいのことをしたほうが、相手との距離も縮まるんです。負けたってどうということはありません。男と男の闘いは負けたらマウンティングされておしまいですが、相手が女性の場合は、負けることで相手も気がすんで、かえってうまくいくことが多い。だって女性はこっちを支配しようと思っているわけではありませんから。

威張り続けて力で押すと、さらにまずいことになります。女性に感情で話されると「女は感情的で話にならん」とぼやき、逆に自分より論理的に攻めてくる女性だと「こいつ女じゃない。可愛くない」なんていう男性が結構いる。それではよい関係は築けません。

僕はAVをつくるビジネスを手掛けてますが、仕事の主役は常に女性。キャストの女性の機嫌が悪いと商品がつくれなくなってしまいます。何とか思いどおりに女の子に動いてもらうために、現場ではまず女の子が最優先。「この社会のルールは男が決めたものだ。女はそれに従わなきゃいけない」から始めるスタッフがいると何も進まないんです。男だから支配できると思っている感じ、支配するものだという常識が1番女性を警戒させるんです。まずは負けてみてください。

アダルトビデオ監督 二村ヒトシ(にむら・ひとし)
1964年、東京都生まれ。慶應義塾幼稚舎卒、慶應義塾大学中退。95年まで劇団『パノラマ歓喜団』を主宰。97年にアダルトビデオ監督としてデビュー。著書に『すべてはモテるためである』『恋とセックスで幸せになる秘密』。
(構成=白河桃子 撮影=澁谷高晴)
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