疑問9:マイナンバーで「将来便利になる」ものとは何?
政府がマイナンバーを導入するお題目のひとつに「国民の利便性の向上」がある。ただ「行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます」と言われても「年に1回行なうかどうかの手続きが簡素化されても関係ないね」と考える人が多いのではないだろうか。
実は「将来便利になる」と言われている部分の多くは、マイナンバーとは別の「公的個人認証」を利用したサービスや仕組みのことを指している。公的個人認証というのは、個人番号カードのICチップを利用して、ネットワークを介してさまざまなサービスを安全に利用できる仕組みだ。他人によるなりすましの防止や、やり取りする電子データが通信途中で改ざんされていないことを確認するための機能を持っている。
現状、公的個人認証は住基カードでしか利用されていないため、使っている国民は少ないが、マイナンバーの運用開始と共に希望者に配布される「個人番号カード」でも利用が可能になる。ちなみに、現在、住基カードを利用している人は、有効期限が来るまで住基カードを利用することはできるが、個人番号カードを受けとったら住基カードは返却しなければならない。
たとえば、政府は「マイナポータル」にアクセスすれば、どの行政機関が自分のどのような情報にアクセスしたのかといったログをパソコンでチェックすることができるとうたっているのだが、マイナポータルへのログインは、この個人番号カードに搭載された公的個人認証が利用されている。一部には、12桁の番号とパスワードを入力してマイナポータルにアクセスすると勘違いしている人がいるが、そうではない。
マイナポータルへログインするには、個人番号カードをパソコンに接続したカードリーダーにかざし、あらかじめ設定しておいた4桁の暗証番号を入力する。アクセス時のログイン認証に、ICチップ内にインストールされた公的個人認証の機能が利用されているのだ。
公的個人認証が個人番号カードに搭載されるため、個人番号カードによる「将来便利になる」各種サービスの利用時に12桁のマイナンバーが使われると勘違いしている人も多いようだが、そうではない。12桁の番号とは別物だ。