家と保険を買ったら何に金をかけるべきか
このような時代に、豊かで幸せな老後を迎えるためには、お金を貯めることが最優先です。その次に大切なことは、情熱を注げられるものを早いうちに見つけ、それを追求することです。たとえば庭師になりたかったら、周囲が反対してもなるべきです。腕が良ければ皇居の庭師に抜擢されるかもしれないし、全国にガーデニングショップを展開する経営者になって、会社を上場するかもしれません。好きなことを仕事にした人はたとえお金持ちになれなくても幸せなはずです。
30代の読者には、さらに住まいの所有を勧めます。家を持てば、この先住む場所の心配をしなくてすむし、持ち家は安定資産ですから、自分の身になにか起こったときに頼ることができます。同時に、万一に備えて生命保険などの各種保険に加入すべきです。こうして持ち家と保険を手にして初めて、他の方法による資産形成について学べるのです。
ただし、投資するなら自分がよくわかっているものを選ぶこと。他人が持ちかける耳寄りな話を鵜呑みにすると、おそらく損をします。車でもファッションでも、好きで詳しく知っている業界があれば、まずその業界への投資から始めるべきです。新商品の発売など新しい動きがあったら自分でリサーチをしてみて、うまくいきそうだと思えばその企業の株を買う。新商品の価値がどれくらい持続するか、競合他社はどう動くか、次の商品はいつ出るかなど、あなたのほうが私やウォール街の投資家よりもよく知っているでしょうから、売り時もわかるはずです。
すべての人に助言したいのは、海外にも資産を持つことです。日本は安泰であると信じたいでしょうが、いつなにが起きてもおかしくない。私は、「最悪の投資先のひとつ」と言われていた70年代の日本に投資して成功しました。旅行で行ったことがあるとか、親しみを持てるとか、どの国でもいいので海外での資産運用を検討してください。これこそが本当に自分を守るための保険であり、お金を増やす手段ですよ。
1942年、米国生まれ。イェール大学卒、オックスフォード大学修了。ジョージ・ソロスと国際投資会社クォンタム・ファンド設立、10年間で4200%のリターンを上げる。37歳で引退、バイクと車で世界を2度一周した。