[6]なりたい自分のイメージを演出しているか
自己アピールとも関連することだが、自分の価値を正しく評価してもらうためには、「人間、中身で勝負だ」という考え方を捨てなくてはならない。いや、もちろん最終的には中身が大切だが、ビジネスのスタートにおいては、外見のほうがはるかに重要度が高い。なぜなら、ビジネスのほとんどは一発勝負だからだ。
たとえば、未知のクライアントにアポイントがとれたとしよう。面談の場で、相手の担当者から「信用できない感じの人だな」とか「仕事ができなそうな人だな」といった印象を持たれてしまったら、次回のアポイントは難しいだろう。多くのビジネスは一発勝負なのだ。
私にも、こんな経験がある。
とても暑い夏の日の午後。ある営業マンが、私の事務所を訪ねてきた。彼に会うのは初めてだ。話の内容は興味深いものだったのだが、彼はあまりにも体格がよすぎて、また汗っかきだった。
おそらく、喫茶店などで汗を引かせる間もなくやってきたのだろうが、汗で濡れたシャツが肌にべたりとくっついて、地肌が透けて見えている。このような経験をして、「またこの人と打ち合わせをしたい」と思う人はあまりいない。『人は見た目が9割』(竹内一郎著)という本があったが、言いえて妙である。自分の価値を正しく評価してほしいと思ったら、身だしなみには十分な注意を払うべきなのである。
さらに言えば、単に清潔な身だしなみを心がけるだけでなく、そこに的確な自己アピールを盛り込みたい。
先日、テレビを見ていたら、星野リゾートの星野佳路社長がTシャツ姿で出演していた。星野リゾートは、ラグジュアリーで寛げる空間を提供している。そのホテルの社長が、堅苦しいスーツ姿で出演しては、星野リゾートのイメージが崩れかねない。つまり星野社長は、外見によってしっかりと星野リゾートのコンセプトをアピールしているのである。
自分の価値を正しく知ってもらうために、「自分がこのような人だと見られたい」外見を整えることは重要だ。言い換えれば、自分の価値をそのまま表すような姿になっていないと、正当な評価は得られないということである。