頑張って働いているのに、どうして給料が上がらないのだろう──。そう悩むあなたは間違った努力をしているかも。まずはチェックリスト(前編:http://president.jp/articles/-/16653?page=3で確かめてみよう。

[4]「ワーク」と「ライフ」をバランスさせていいのか

ワークライフバランスという言葉の流行によって、特に若いビジネスマンの中に、この言葉を地で行こうとする人が増えてきている。

仕事と私生活のバランスを取り、両方を充実させようという考え方自体は素晴らしいものだと思うが、「いつバランスさせるか」ということは、一考を要する問題である。

私はサイバーエージェントに勤めていた時代、アメーバブックスという出版社を立ち上げて、サイバーエージェントの藤田晋社長の『渋谷で働く社長の告白』を含め、いわゆる「社長本」を出版した経験がある。その仕事を通して彼らの若い時代、特に20代の働き方を知ることになったが、例外なくすさまじい働き方をしているのに驚かされた。

たとえばサイバーエージェントの藤田社長は、インテリジェンスに勤めていた時代は、毎日、オフィスに一番乗りをし、他の社員が出勤してくる頃には、営業先に出発していたというのである。

藤田社長のような、IT系のベンチャー企業の社長の成功は、時代の波にうまく乗ったからだとか、時代が味方したからだなどと評されることが多いが、彼らの努力と勉強量は圧倒的だ。彼らの成功の背後には、膨大な経験と知識の蓄積、つまり価値の蓄積があるのだ。

若い時代に猛烈な働き方をして価値の蓄積をしっかりした上で、30代、40代に1年、2年という単位で長期の海外旅行に出たり、海外留学をしたりする人が私の周囲にはとても多い。

こうした経験はストレートに自分の価値を高めることになると思うが、ワークライフバランスと称して、若い頃から頻繁に休暇を取って海外旅行にでかけることが、価値の向上に繋がるかというと、はなはだ疑問なのである。

私は、大学時代に書いた3冊の本を出版することで独立の基礎をつくった。そういう背景があったから独立できたのだろうとよく言われるが、出版事業が軌道に乗るまでの10年間は、猛烈な蓄積の日々を送った。ワークとライフのバランスを取るのは、十分な地力をつけた後でいい。