1000ページのデータに勝る！ 新事業成立の可否を決める“小さな実験”

資金を使わずにアイデアを強化

オンライン・ツールの性能が向上し、3D印刷が次第に手の届く価格になって利用しやすくなるにつれて、あまり多額の投資をせずにアイデアを現実のものにすることがたやすくなってきている。一例をあげると、一型糖尿病患者用のインスリンポンプを製造している会社が、顧客は現在のポンプの物理的デザインに不満を持っているということに気づいた。同社は異なるサイズや形のポンプに患者がどう反応するかを知りたいと思った。そこで、ロードアイランドの小さなデザイン工房と協力して、ポンプの機能を除いて外観、感触、重さだけを具現化した一連の物理的プロトタイプを作製した。それから、顧客にそれらを手に取って現在の製品と比較してみてくれと頼んだ。結果、この会社はより総合的なデザイン作業に何百万ドルも投資する前に重要なフィードバックを得ることができた。

ここで紹介した実験は、いずれも法外な資金や時間がかかるものではない。それでも、アイデアを強化するための決定的なデータを短期間で生み出した。自社の主張を説得力のあるものにしようと思うなら、入念に準備された1つの実験は、1000ページ分の過去のデータに勝るとも劣らない価値がある。