「お金」がなければ「離婚」危機が訪れる!?
近所を散歩しても、チェーン店のレストランで外食をしても、妻となら楽しめる私は、いいパートナーを得ることができたといえます。知り合いから「仲のいい夫婦」といわれることも少なくありません。妻がどう評価しているのかはわかりませんが、妻を支えたいという強い気持ちが自然と湧いてくるのです。
ところが、妻への思いがどれだけ強かったとしても、お金がなければあまり役に立ちません。少なくとも私の場合はそうです。
つらく絶望的にもなる妻の闘病生活を励まし続けるには、夫の愛情だけでなく、ある程度お金の余裕が必要です。少なくともお金の心配をさせるべきではありません。
お金がないと、夫としての価値がないように思え、罪悪感を覚えるようになります。この罪悪感が強くなりすぎると完全に追い詰められてしまい、どうしてこんなにつらい目に遭わなければならないんだと、まるで妻が敵のように思えてくることもあるくらいです。
私の場合、妻と一緒にいることが楽しいわけですから、少しでもお金に余裕があって、旅行やちょっと雰囲気のいいレストランに行くことができれば、普通の人以上に楽しめるのです。そのほうが妻もよろこんでくれるのはいうまでもありません。闘病しているからこそ、妻には人生の潤いが必要なのです。
恥ずかしながら、治療費の心配もしなければならないほどお金に困ったとき、妻との離婚を考えたことがあります。妻は生活保護を受け、私が稼いだお金を渡してあげるほうが、まだ安心して闘病できるのではないか、と思ったのです。私の存在なんて、お金と比べたら小さなもの、と信じて疑わなくなってしまったのです。実際、このことを妻と話し合ったことがありました。
どれだけ妻への思いが強かったとしても、お金がなければ、離婚の危機が訪れることはあると思います。「がん離婚」のなかには、このようなケースも、結構含まれているように思えてなりません。