Q: 最大の成果を生み出すレイアウトを教えてください
様々な試行錯誤を繰り返した結果、アップルで私がたどり着いたベストパフォーマンスを生み出すレイアウトが図です。
チームごとに島に分け、それ以外に自由に使えるワークスペースも用意しました。1つの長いデスクを2人で斜め背中合わせに使うので相互監視できつつも、必要ならワークスペースに移動して1人で作業したり、数人で相談することも可能。
デスク間の壁は立ち上がればすぐにお互いの顔が見える程度に低くし、一部半透明のガラスにすることで他者の存在が感じられるようにしたのです。引き出し棚の上にはクッションを置き、仲間が気軽に立ち寄って相談できるようにしました。
また、コミュニケーションを図る一環として、部内で写真コンテストを何度か開きました。社員同士、仕事以外の趣味や才能を知る機会になったと同時に、優秀作品を飾ったことで内装インテリアのコストを削減することもでき、一石二鳥でした。
個人が仕事に集中しつつも、チーム間のコミュニケーションもスムーズにはかれるこのレイアウトは、ベストだと思っています。相互監視が働き、多くの人がいれば誰かが手を抜くという事態も発生しにくく、同僚とは競争意識と協力意識が共存する環境が整ったのです。
▼アップル式 オフィスのレイアウト方法
[BEFORE]効率の悪いキューブ型
以前は、個人のデスクが高い壁で仕切られていたため、業務中昼寝やゲームをする人もおり、チームとしての意識も薄かった。
[AFTER]チーム力&個人力も上がる開放型
何度か試行錯誤の末に行き着いたのは、個人が集中できる環境とチーム間のコミュニケーションを両立したレイアウト。デスクを2人セットにし、デスク間の仕切りも立てば互いの顔が見える高さ。マネジャー職もすぐ隣にガラス張りの個室を設置した。
松井 博(まつい・ひろし)
1966年生まれ。沖電気工業、アップルジャパンを経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。ハードウエア製品の品質保証部のシニアマネジャーとして09年まで勤務。