誰の言うことも信じてはいけない

このように投資には企業のお金の流れを把握することが欠かせない。その企業の財務状況を正しく知るためには数字に強くなければならない。もしあなたが数字に弱ければ、強くなるまで投資をするべきではない。最終的に投資するかどうかを決めるのは数字なのである。

同時に自分が関心を持つ分野の業界誌を丁寧に読むことも重要である。そこには競合製品についての情報が掲載されている。もしあなたがファッションに関心があれば、綿やウールなど、服をつくるのに必要な素材の価格に何が起きているかを知っておかなければならない。皮革の価格も把握しておかなければならない。皮革に取って代わる素材についての知識も必要である。

さらに企業のCEOやその同業者がどういう媒体から情報を得ているかを知ることも重要である。彼らが読んでいる業界誌や情報にも目を通しておけば、彼らの次なる動きを読むこともできるようになる。

こんなにも情報収集するのは自分には無理だと嘆く人もいるだろう。安心していい。現代の投資家には上場投資信託(ETF)というものがある。20年ほど前に登場したもので、今では世界中にたくさんの商品が出回っている。たとえば、ある新興市場がバブルだと見たら、新興市場のETF(新興市場の金融商品をひとまとめにしたもの)を空売りすればいいのである。これなら腰を据えて年次報告書のページを繰り、何百という企業の経営を評価する必要はない。エネルギーなど分野別に特化したETFもたくさん存在する。ETFは世界をシンプルにしているといえるだろう。