あくびがうつるのは、共感能力の証左

「互恵」とは、たとえばある動物が自分に必要のないことを手伝ったとして、手伝ってもらった動物から何らかの見返りがあること。

ある実験で、エサをたぐりよせたい2匹のチンパンジーが、エサの台が重いためパートナーが必要だと「協力」をするようになる。そして、1匹のチンパンジーにだけエサをやり、エサを探す必要がなくなった状態にすると……。自分はエサに興味が無くても、エサが欲しいチンパンジーに協力していく。霊長類やその他の動物が恩返しをするため、手伝った彼には何らかの見返りがある。ここでは、エサの一部をもらえたのだが、これが互恵だという。

「同調」は 共感の一種で、人間においてもあくびの伝染の研究で知られている。誰かがあくびをすると他の人にもうつる。人のあくびを見て脳の同じ部位が活性化されるためだ。あくびがうつりやすい人は共感の能力が高いとされる。

さらに「慰め」も共感に生み出される行為のひとつだ。争いに負けた雄のチンパンジーが叫んでいる所に、幼いチンパンジーがやってきて抱きしめ落ち着かせる……。これが 慰めだ。人間では、家族に苦しんでいる演技をし、子供がどうするか観察する、というものがある。慰めは共感に関連した反応なのだ。

こうした霊長類の特質を、寛大に正確にとらえて人にあてはめて考えることで、より建設的な人間関係が築け、力を合わせられるようになる。では、利己性と社会性をみてみよう。