信頼できそう、もっと話を聞きたい、また会いたい。そう思われる人はどこが違うのか。
相手の懐に入り、次につながる話し方のコツとは。

冒頭●一瞬で打ち解ける「事前の仕込み」

奥さんの誕生日も前もってリサーチ

雑談のいいところは条件にとらわれず、本音の話ができる点にある。とくに社内ではコミュニケーションが大事と言いながら、どうしても指示や命令が多くなり、水面下で文句が言われることになりがちである。しかし雑談なら上司、部下という立場を超え、同じ人間同士としてコミュニケーションができる。雑談の価値はそこにあり、私は非常に重要だと考えている。

人間は気持ちで仕事をし、気持ちで生きている。最初に誰かと会うとき、何も情報を持たずに「はじめまして。これまで何をされてきたんですか」と接するのと、会話のきっかけとなる情報を持ち「最近、○○しているそうですね」などと入っていくのとでは、その後の雰囲気は大きく異なってくる。

やはりお会いする人とは一歩近いところで話をしたい。常に一歩、間を詰めたい。だから私はお得意様やビジネスの相手にお目にかかるときは、事前に必ずリサーチする。社外の人にお会いするときは、直近3カ月分の新聞・雑誌記事に目を通している。

夜、若い社員を集めて飲むときも同じで、調べてみると、なかには今日が奥さんの誕生日という人がいたりする。

「毎年、誕生日はどうしているんだ?」
「いや、特別なことはしていません」
「バカ野郎! 今日は私が花を買ってやるから持って帰りなさい。ただし、来年からは自分で買うように」

やりすぎるといやらしくなるが、最初に会ったときに「そうなんだってね」と言えるものを持っていると、ふっと距離が縮んだり空気が柔らかくなったりする。