このケースのように悪質ではなくても、新人や不慣れな担当者が客からの質問に的確に答えられないと「そんなこともわからないのか!」と怒るパターンは珍しくない。その場合はどうするか。

「こちらの知識不足が原因の場合は『上司と一緒に聞かせていただいてもよろしいですか』と言うのがよいでしょう。知識を自慢したいと思っているので、聞く側は多いほうが喜びます。内容が的を射ていれば素直に拝聴すればよく、もし的外れなら上司が訂正する。もしこうしなさい、と指図をしてきたら、『外部の方の貴重なご意見として頂戴しておきます』と伝えればいい」(関根氏)

社内で弱い者イジメタイプの上司から叱責を受けたときは、言われっぱなしになるのではなく「相槌でジャブを打つ」対応がよいとクレーム・コンサルタントの谷氏は言う。ここで注意すべきは、反論はしないという点である。

「上司の話の合間に『申し訳ありません』『反省しています』とジャブを打つように相槌を入れていく。そうすると『おまえ、何に対して謝っているのか言ってみろ』と反応してくるので、そこで謝罪の理由を明確に述べていくのです」(谷氏)

すると「わかっているならいいよ」という流れになり、その場が早く終わる。ストレス発散のために叱責してくる相手には、その人の名前を入れるのも効果的だ。たとえば「○○部長からせっかくチャンスをいただいたのに、期待に応えられなかったことを反省しています」と自分が至らなかった点を言い訳せず、受け入れながら反省の弁を述べることだ。

【答え&解説】ストレス発散型の怒り。お詫びの言葉も大事だが、それよりも相槌を打ちつつ自分の言いたいことを伝えるCがおすすめ。こういう人は鬱憤がたまっていることが多いので、相手の名前を連呼することも効果的。言い訳がましいBはNG。余計に怒りを買ってしまう。

苦情・クレーム対応アドバイザー 関根眞一
1950年生まれ。西武百貨店にて全国3店舗のお客様相談室長および池袋本店お客様相談室を担当。在社中は1300件以上のクレーム・苦情を処理。2003年退社し、NPO事務局次長を経てメデュケーション代表取締役。著書は『となりのクレーマー』など。
クレーム・コンサルタント 谷 厚志
1969年生まれ。リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。現在は独立し、コンサルティング・講演などを行う。著書は『「怒るお客様」こそ、神様です!』など。
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