「試しにハンバーガーで計算してみましょう。牛肉のパテは1枚・約55gですから1133リットル。バンズがパン2枚分として192リットル。これだけで1325リットルになります。もしダブルバーガーを頼むとしたら、牛肉で倍の2266リットルが必要となって、バンズの分を足すと2458リットル。先ほどのTシャツ1枚とほぼ同じ量の水が必要になるのです」
橋本さんの話を聞いていると、水の大量消費の一端が垣間見えてきて、空恐ろしくなってくる。中高生の食べ盛りの子ども2人と家族4人で焼き肉を食べにいったら牛肉1kgくらいはペロリと平らげてしまうだろう。となると、それに必要な水の量は何と2万600リットル。お風呂に換算すると103日分か。牛肉にこれだけ水が必要なのは、飼料であるトウモロコシの栽培に大量の水を使うからなのだそうだが、いままで想像もしてこなかった。
昨年のクリスマス前はバターが不足してケーキがつくれないのではと危惧されたことがあった。「その原因の一つが米国の干ばつによる飼料価格の高騰でした」と橋本さんはいう。水は知らないところで私たちの日々の生活に影響を与えているわけで、ビジネスマンとしても、そのコストやリスクをきちんと数字で把握しておく必要がありそうだ。