体づくりは栄養、トレーニング、ケアで決まる
チームづくりの転機は4年前の大学選手権1回戦だった。強力チームと自信を持った年だったけれど、けが人が続出し、京産大に苦杯を喫した。
「ベストメンバーの大半がけがをして……。それは指導者の責任です。なぜけがをするのか。けがをしないための体、その環境づくりを考えました」
三脚イスに例えると、と岩出は両手でその仕草をつくる。
「体づくりには栄養、トレーニング、ケアの3つが大事です。ひとつ、何かあったら、イスはバランスを崩して傾く。倒れてしまうのです」
帝京大には栄養士がいる。練習メニューに合わせ、カロリー計算をして献立をつくる。特筆すべきは食事の回数の多さだろう。1日に5、6回。朝昼晩だけでなく、練習や筋トレ前にも果物やゼリーなどの補食を摂らせる。夜食も鍋料理など、脂肪がつかないよう、栄養のバランスよく、である。
つまりは「元気な状態で練習する」のだ。日曜が試合としたら、通常の練習スケジュールでは、月曜が休養日、リカバリー、火曜、木曜が体づくり、水曜がコンタクト系、金曜、土曜がチーム練習となる。まるでアメリカンフットボールの強豪チームのごとく、体づくりに重点が置かれている。
トレーニングで重視するのは、「型」である。ラグビーで大事な接点の攻防を左右するコンタクト力。これはスローな反復練習で基本を叩き込む。
「けがは倒れ方が悪かったときにおこりやすい。だから基本の動作はゆっくり、ゆっくりやっていきます」
ほか筋トレを担当するフィットネスコーチがいて、チームドクターほか、トレーナーも充実している。岩出はスタッフと月1回はミーティングを開く。情報交換が密になれば、新たなアイデアも出てくる。好循環をたどる。