06 全国区の一流企業より地元の企業を愛す
かつてコロコロ変わる権力に翻弄された経験からか、名古屋人はそう簡単には「他人を信用しない」。保守的なため、新しいことに挑戦しようという気概が薄いのである。こういった気質は、「リスクを取らない」ことに通じる。取引先を選ぶときでも万全に備え、大きな冒険をしないのが名古屋人の流儀。同じ仕事を頼むなら、知らない人(外の企業)よりも信頼(安心)できる人(地元企業)を選ぶ。これは、同じ地域の人間(企業)であれば状況をつかみやすく、しかも“万が一”があったとしても、その後の処理がスムーズ、という意味もあるよう。生活においても、全国区の大銀行よりも地元銀行、地元老舗店を選ぶ人間が多いのは、こうした考えからだ。
また、名古屋人は市外転出率が全国的にも低く、地元をこよなく愛している。名古屋に本社を置く健全経営の有力一流企業も多いため、学生も就職は「地元」を選択することが多い。名古屋人の多くが、「三井住友? 知らんがね。東海さん(現・三菱東京UFJ 銀行)が安気(あんき)」というほど、地元は安心というスタンス。そんな祖父母や親の下、“地元企業がいちばん”とすり込まれて育っている子どもが、就職先に地元を選ばないはずはないのだ。さらに、転勤は地元名古屋を愛する名古屋人にとっては「リスク」以上の何ものでもない……そのため、転勤がイヤで地元企業や市役所を選択する人も多いそう。
07 「メーダイ」とは名古屋大学のことである
「メーダイ」と聞くと、多くの人が東京の「明治大学」を思い浮かべるだろう。しかし、名古屋(東海地方)で「メーダイ」と言えば、国立上位の「名古屋大学」を指すので要注意。もしも取引先の部長が「メーダイ」出身と聞いても、決して「箱根駅伝は凄かったですね」などと明大と間違えて話を進めてはいけないのである。東海地方の高校にとって「メーダイ」合格者数は、大学合格者数ランキングの指標。地元エリートたちの巣窟でもあるのだ。ちなみに「メーエキ」は名古屋駅。「メーテツ」は名古屋鉄道。ただし、ナゴヤドームは「メード」でなく、「ナゴド」が正解。まるで引っ掛け問題のようだ。