正社員希望の女性が少ない理由
職場に連れてくる子供は0歳児が多く、大きくなっても幼稚園通園前の幼児まで。パートの多くは幼稚園・小学校の子供も抱えているので、夕方までには帰宅する。
基本的にチームを組んで業務をこなし、子供の病気などで急に休みを取る必要があったときなどはお互いにカバーするような工夫を取り入れている。子育てから手が離れれば、正社員になることや長時間勤務も可能だ。中には、望んで営業職に就いた子連れのスタッフもいたという。
「意外に思われるかもしれませんが、正社員になりたがる女性は少ないですね。もともと授乳服に救われたと共感して来ている人が多いのですが、収入より、みなさんはお子さんや家族の生活を大事にしたいと考えています。だから、時間が自由で、やりがいのある仕事として喜んで働いてくれるのです」
モーハウスの店舗や本社を見ると、抱っこをしながら働いている姿は、とても自然で違和感などない。泣いたり、むずかっている子供もいなかった。「抱っこしていれば子供は意外と静かですよ」と光畑。
13年には、NPO法人子連れスタイル推進協会を立ち上げ、毎月、子連れ出勤見学会を開催。子連れワークスタイル実践の仕組みや復職のためのヒントなどを説明している。
「子連れ出勤では確かに生産効率が低くなるかもしれませんが、1つの働き方としてあってもいい。子連れのお母さんたちで会社を回している当社を見てもらい、他の企業にも“いいとこ取り”をしてもらいたいし、やりがいを重視して頑張る優秀なお母さんたちがいることを知ってほしいですね」
モーハウスは、かつてなかった製品を作り出しただけでなく、時代に合った柔軟なワークスタイルも生み出そうとしている。(本文中敬称略)
●代表者:光畑由佳
●創設:1997年
●業種:授乳服の製作・販売、授乳服を通した情報発信
●従業員:45名(パート含む)
●年間売上点数:8万5000点(2013年度)
●本社:茨城県つくば市
●ホームページ:http://mo-house.net/