原発ゼロだと電気料金はアップする!?

当然、今後も電気料金の値上げが繰り返される可能性はある。認可申請は電力会社の経営判断だが、それには経済産業省による認可を受ける必要がある。つまり、必ずしも電力会社の一存ではなく、国のチェックを受けている。

このまま原発の停止が長期化すると、社会経済活動への影響も無視できない。電気料金アップは、物価上昇による家計圧迫を皮切りに、企業活動のコスト増、雇用の減少、貿易収支の悪化と枚挙にいとまがない。それらはGDPのマイナスももたらし、経済成長と暮らしに大きな影響を及ぼしかねない。

例えば燃料費は東日本大震災前の10年度には電力9社で合計3.6兆円であったが、13年度は7.7兆円と2倍強の増加となっている。実質4兆円近く増えた計算だ。消費税を1%上げると約2兆円の増税というから、燃料費増加は消費税2%弱に相当する、極めて大きな金額といえる。さらに、消費税なら国内で循環するが、追加の燃料費は輸入のため国富の流出になってしまう。

こうした現実について、いくつかのシンクタンクが調査をしているが、その結果はおしなべて厳しい。そのうち、第一生命経済研究所が震災の年に原発全停止の条件で行った短期予測によると、GDPは3年後に1.1%押し下げられ、6.2兆円が失われる。これは08年度のリーマンショック時のマイナス5.5兆円を上回る。電気料金は約2割上昇し、20万人が失業する。

東日本大震災から、間もなく4年が経過しようとしている。日本という国の行方さえ左右するエネルギーのベストミックスを探ることは喫緊の課題のはずだ。それが、原発の再稼働問題だけでなく再生可能エネルギーの可能性も含めて方向性は見えていない。当面は、しばらく火力主体でいくにしても、近い将来はどうするのか……。いま、適切なエネルギー選択の議論と判断が求められていることは間違いない。

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