「青森県は核のゴミ捨て場ではない」
「青森県やむつ市は核のゴミ捨て場ではない。(使用済み核燃料が)集まったときに出口はあるのか」――。
昨年12月18日、青森県むつ市の宮下宗一郎市長は面会に訪れた電気事業連合会(電事連)の清水成信副会長(中部電力副社長執行役員待遇)と、経済産業省の幹部を前に憤りの声を上げた。
宮下市長の怒りの矛先は電事連が年末に公表した同市にある使用済み核燃料中間貯蔵施設の共同利用案を巡る問題だ。むつ市の前に電事連が訪れた青森県の三村申吾知事も「本日は聞き置くだけにする」と電事連の説明を受け流した。
宮下市長は、正月明け4日の年頭会見でも「一事業者(関西電力)の再稼働の話と、私たちの中間貯蔵が関連するような論調があり、非常に困惑している。本来は全く関係がない」と述べ、その怒りは収まらない。
青森県知事やむつ市長を憤らせる電事連の「中間貯蔵施設の共同利用案(共用化案)」とは一体何か。なぜ、青森県と地理的にも離れた関電がこの問題に絡むのか。
関電管内の各原発内にある貯蔵スペースも5~9年で満杯に
むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設は東京電力ホールディングス(HD)と日本原子力発電(原電)、それに青森県、むつ市の4企業・自治体が共同運営するリサイクル燃料貯蔵(RFS)がもつ施設だ。東電と原電の原発から生じる使用済み核燃料を一時保管する施設として2021年度中の操業を目指して建設が進められている。
共用化案は、東電HDや原電以外にも、原発の使用済み核燃料の一時保管場所として他電力も「相乗りさせてもらう」という提案だ。今後、原発の再稼働が進めば、使用済み核燃料は増え、各原発の隣接地などに置く貯蔵スペースに限りが出てくる。
特に震災前には総発電量に占める原発比率が5割を超え、今でも3割弱と最も原発依存度が高い関電にとって使用済み核燃料の処理は深刻な問題だ。関電管内の各原発内にある貯蔵スペースも5~9年で満杯になる。
さらに関電には重い課題がのしかかる。福井県にある稼働40年を超える高浜第1号、同第2号、美浜3号機の3つの老朽原発の再稼働の条件として、これら原発から出る使用済み核燃料を県外に移設することを福井県から求められているのだ。