最初は数千円の歳暮・中元から

関西電力の経営幹部らが福井県高浜町元助役から多額の金品を受領していたことが発覚した。不正の請託を受けて金品を受け取っていれば取締役等の贈収賄罪(会社法第967条)にあたるが、元助役が死亡しており立証は困難。このまま不起訴で終わりそうだ。

会社員として人ごとではないのは、「金品を返そうとしたが、怖くて返せなかった」とする関電側の言い分だ。金品を要求されることは想像できても、受け取るよう脅されるシーンは思い浮かばない人が多いかもしれない。しかし、一般企業でも起こりうる話だ。警察庁OBで危機管理コンサルタントの屋久哲夫氏がよくあるパターンを教えてくれた。

「反社系フロント企業は、普通の企業の顔をして営業をかけてきます。相場より安い価格で仕事を請け負ったら、最初は数千円の歳暮・中元から始まり、次第に数万円のスーツ仕立券、さらに高級クラブでの接待とエスカレート。おいしい汁を吸わせたところで、『値上げしたい』と態度を急変させます。契約を断ると、『うすうす気づいていると思いますが、うちのオーナーは怖い人でしてね』とにおわせ、さらなる金品とともに高額の契約を迫ります」