修繕積立金めぐり住民が真っ二つ!?

日本各地で猛威を振るった台風19号。神奈川県の武蔵小杉では、災害に強いと言われるタワーマンションでも浸水被害があった。人的被害がなかったのは不幸中の幸いだが、気になるのは修繕費。保険が下りたりデベロッパーが負担に応じれば問題ないが、そうでない場合、共用部分については管理組合が修繕積立金を使って修繕を行うことになる。

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他のマンションの住民にとっても人ごとではない。一般的に修繕積立金は不足する傾向にある。修繕計画を立てたときより建築資材が値上がりしたり、そもそも売りやすくするために最初は修繕費が低めに見積もられる業界事情があるからだ。ただでさえ不足気味なのに、災害などで想定外の修繕が加われば、修繕費の増額や一時金の徴収は避けられないだろう。

修繕積立金をめぐるトラブルは多い。修繕積立金の増額は、管理組合の総会で決議が必要だ。災害などで建物の価格の半分を超える被害がある大規模滅失の場合、復旧は特別決議事項(区分所有者数の4分の3以上および議決権の4分の3以上の賛成が必要)になるが、それ以下の復旧や通常の修繕ならば議決権の過半数で可能。この決議をめぐって住民が揉めるケースが後を絶たないのだ。不動産業界に詳しい町田裕紀弁護士は、次のように明かす。