「若い世代は長く住むことを想定しており、修繕に積極的。一方、年金暮らしの高齢者は消極的な傾向があります。強引に決議すると遺恨が残るので、理事長がうまく取りまとめるのが理想的。しかし、理事長職が輪番制だと、事なかれ主義で先送りされがちです」

滞納が続けば強制執行で競売も

決議後も楽観はできない。修繕費が増額された結果、経済的事情から滞納する住民が現れるおそれがある。督促後も未納なら、管理組合は訴訟を起こさざるをえない。

「和解できなければ強制執行で、ほかに財産がなければ不動産は競売にかけられます。じつはマンションの管理費や修繕積立金の債務は特殊で、区分所有法8条の規定により買い手にも承継されます。ただ、現実には売却代金から精算されることがほとんどです」

売却価格より住宅ローンの残債が大きいオーバーローン状態だと、競売が取り消されることがある。ただ、その場合も区分所有法59条(共同利益背反行為による競売請求)による競売が行われるため、最終的には滞納者はマンションから追い出される。

住居は重要な生活基盤。できれば追い出す形になる前に円満に解決したいところだ。町田弁護士は、修繕積立金を支払えずに困っている住民にこうアドバイスをする。

「分割で払ったり、多重債務で支払えないなら債務整理をする道もあります。売却が避けられないとしても、競売で売るより任意売却のほうが高く売れる。何かしら手はあるので、早めに管理組合側に相談してほしいですね」

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(コメンテーター=西村・町田法律事務所 弁護士 町田裕紀 図版作成=大橋昭一)