客がブーメランのように戻ってくる
バラエティ番組とはいえ、この「やりとり」からビジネスパーソンが学べることは少なくないはずだ。
ただ同じ営業トークを一方的にし続けていては、無駄に時間が過ぎるだけである。というより、煙たがられる。ウザいヤツというレッテルをはられたら、「次」はない。だから、ちょっと相手を突き放して、勧誘話の外へ気持ちを泳がせてみるのだ。
ただし、この時、大切なのは至誠を尽くして話した土台の上に行うということである。話が客の心に刺さっている場合、相手はブーメランのように自ら「話の土俵」に再び戻ってくることがある。そうなれば石橋さんのように好機を逃さず、自らの願う方向に誘導することもできる。
思えば、私が今まで会った営業センスに優れたビジネスパーソンの多くは、客に対して一度攻めたあと、深追いせず、わざと沈黙したり素っ気ない態度をしたりする人の心理を知り尽くしたテクニックを備えていた。
より恩義のある人や上司から、この手法を取られると、ますますその威力は高まる。「これだけの大先輩から、話を持ち掛けてくれたのに、断っては申し訳ない」という罪悪感にも似た気持ちが出てくるからだ。これまでに、より信頼関係を築いた人であれば、相手は期待を裏切ってはいけないという思いが強くなり、効果はテキメンなのである。