石橋貴明はいかに数十万円の仏像を売ったか

最近、「なかなかうまい話術を使う」と思った一人に、お笑いタレント「とんねるず」の石橋貴明さんがいる。昨年、とんねるず司会の番組にゲスト出演した時のことだ。石橋さんらが他の芸人に怪しい開運商品などを実際に販売するというドキュメント・バラエティ。いわゆるどっきり番組だ。視聴者が、詐欺商法など悪徳商法の手口に引っかからないように学べる演出になっている。

どっきりのターゲットのひとりは、「バナナマン」の日村勇紀さんである。仕掛け人である石橋さんがプライベートを装い、日村さんの楽屋に入り、「実はいいものがあるんだ」という感じで開運の数珠を紹介する。石橋さんに気を許している日村さんはすぐに2万円で購入した。

続いて、1本(500ml)5000円の水も大量購入。だが、数十万円の仏像を勧められるとさすがに躊躇した。たいがいの仕掛人はここで、「そう言わずに、どうぞ」とか「せっかくだから」とか言ってさらに契約を無理に迫るところだが、石橋さんの行動は全く別なものだった。

別室で、隠しカメラに映った石橋・日村のやりとりを見ていた私は驚いた。石橋さんは、あっさりと「じゃあ、いいや」と、仏像を引っ込めて、箱にしまったのだ。

これを見て、「うまい」と私は唸った。

案の定、仏像をさっさと引っ込められた日村さんは、「この機会を逃したら、商品が手に入らないかも」「(石橋さんと仲のいい)自分だけがキャッチできた情報かも」と急に焦り出した。

「もう一度、見せてもらっていいですか?」

自ら手を出して箱から仏像を取り出して、眺め始めたのだ。ほどなくして日村さんは仏像購入を決断したのはいうまでもない。