下がらないマンション3つのポイント
では、このランキング上位のマンションにはどのような特徴があるのだろうか。キーワードは、「駅直結」「隣接施設」そして「邸宅地」だ。
「マンションは立地が重要」とはよく言われることだが、なかでも、「駅直結」は、その希少性が強みだ。「ステーションガーデンタワー」(荒川区)や、「アトラスタワー北千住」(足立区)など、駅前再開発によってできたものが多い。
次に、駅に直結していないマンションの場合。「駅近」だけでは、不十分だ。差別化の切り札となるのが「何に隣接しているか」。先に挙げた「広尾ガーデンヒルズ」(渋谷区)は背後を聖心女子大学、赤十字病院に囲まれ、駅近にもかかわらず、良好な住環境を維持している。そのほかにも、図書館に隣接する「日神パレス北千住」(足立区)、学習院大学に隣接する「目白ガーデンヒルズ」(豊島区)、恵比寿ガーデンプレイスに隣接する「恵比寿ガーデンテラス壱番館」(目黒区)など、住環境に影響を与えにくい大規模施設に隣接するマンションが上位に見られる。
以上の2つのタイプは、100戸以上の大規模物件が多いが、比較的小規模なマンションがヴィンテージ化するための条件は何か。それは古くからの「邸宅地」にあるかどうかだ。「グランドメゾン松濤」(渋谷区神山町)、「クレストコート砂土原」(新宿区市谷砂土原町)、「ホーマットオリエント」(千代田区一番町)、「アルカサル目黒花房山」(品川区上大崎)、「ドムス本郷東野」(文京区本郷)などがそうだ。
また、ランキングでは、各区で最も平米単価が安いマンション(残念マンション)も紹介する。これらのマンションは、「交通の便が悪い」「外観が古さを感じさせる」「自主管理」などの特徴が見られ、エレベーターがない古いタイプの団地であったり、周辺環境が活気に乏しいケースも多い。ただ、新築で買い、売却した人にとっては「残念マンション」であったかもしれないが、これから買おうとするなら、「お買い得」であるともいえる。このほか、平均市場価格から判明した「お高い町」「お高い駅」「お高い小学校」のランキングもあわせて掲載する。
なお、一部の区では、小家族向けの部屋や、広めのワンルームを主体とするマンションもランクインしている。一般的に、一戸当たりの面積が狭いマンションは単価が高くなる傾向があるが、これらの区では、その価値がヴィンテージ的な価値を上回ったといえる。
東京では今後、20年のオリンピック開催を控えて、湾岸部でマンションの大量供給が予想される。これらのマンション群が「ヴィンテージ」になれるかどうかの分かれ道は、一時的な「五輪人気」に頼らず、利便性と住環境を両立させる計画的な開発が行われるかどうかにかかっているといえるだろう。