健闘する公立校の4校の存在感

私立中高一貫校が優位な中、国公立大医学部合格者数ランキングで20位以内に入っている公立校は、先の新潟と仙台第二(45人)、札幌南(44人)、秋田(43人)の3校だ。塾関係者は言う。

「難関大合格実績が高い地域のトップ校には、医学部志望の優秀な生徒が入学してくるためです。ただ、私立中高一貫校ほど現役合格率は高くありません」

新潟は新潟大が26人で同大のトップを続けている。東京大2人、北海道大2人、東北大4人など旧帝大の合格実績もあげている。秋田も地元の秋田大に強く合格者は同大トップの31人で、東北大にも5人合格している。

地元に旧帝大がある県のトップ校は、合格者の多くを旧帝大が占める。仙台第二は東北大が21人で全合格者の半数近くに上る。山形大12人、弘前大3人、福島県立医科大3人など東北を中心に合格者を輩出している。札幌南は北海道大に19人が合格した。札幌医科大10人、旭川医科大7人など地元の大学が中心だが、東大2人、東北大2人、大阪大1人など旧帝大にも合格者がいる。現役合格者も29人と多く今春は卒業生の9%が国公立大医学部に合格した。

難関の国公立大医学部だが、医師不足解消のために07年の7625人から9061人に定員が増えており、間口は広がっている。前出の私立中高一貫校や公立トップ校の合格者数を定員増前の07年と今春を比較すると、東海52人増、洛南39人増、東大寺学園35人増、新潟27人増、仙台第二16人増、札幌南12人増などとなっている。また、定員増分の多くは地域医療や僻地医療にあたる医師を養成する地域枠で、推薦やAO入試で募集されることが多いため合格校自体も増えている。予備校関係者は言う。

「一般入試に比べると推薦やAO入試はセンター試験のハードルが低いので、トップ校以外から合格者がでることも珍しくありません」

医学部に1人以上合格者を出した学校を07年と今春で比較すると、642校から743校と101校近く増えている。国公立大医学部入試は最難関に違いないが、以前よりすそ野が広がっていることも事実のようだ。

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