留魂録は全16節、約5000字に及ぶ。松陰は念のため同じものを2通作成した。(松陰神社蔵)

では、どのようなタイミングで身を賭すべきか。

大事なのは「内に省みて」です。現代はスピードが速く、情報が次々に飛んできます。そうした外的な環境に反応して何かを懸けるのは、単なるギャンブラーです。松陰はそうした反応的な生き方をするのではなく、「立ち止まって内省せよ」といいました。つまり自分の内面と対話して、志に合っているかどうか、それを判断の軸にせよと教えているのです。

続いて松陰は「吾れの損失、当に蓋棺の後を待ちて議すべきのみ」と書いています。これは「私の人間としての在り方がいいのか悪いのか、私が棺に入った後、歴史に判断を委ねるしかない」ということ。この一文からも、「いま得だから」と目先の利益に振り回されるのではなく、志を大事にすれば評価は後からついてくるという松陰の考え方がうかがいしれます。

続いて松陰は「吾れの損失、当に蓋棺の後を待ちて議すべきのみ」と書いています。これは「私の人間としての在り方がいいのか悪いのか、私が棺に入った後、歴史に判断を委ねるしかない」ということ。この一文からも、「いま得だから」と目先の利益に振り回されるのではなく、志を大事にすれば評価は後からついてくるという松陰の考え方がうかがいしれます。

※言葉の出典は『吉田松陰 留魂録』(古川 薫・全訳注)

池田貴将(いけだ・たかまさ)
リーダーシップ・行動心理学研究者、オープンプラットフォーム主宰
世界NO.1コーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズに師事。起業家・経営者・ビジネスリーダー向けのスクールを主宰。翻訳の正確性よりも松陰の志を伝えた著書『覚悟の磨き方 超訳吉田松陰』が20万部超えの大ヒット。
(村上 敬=構成 工藤睦子=撮影)
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