――これから手をつけないといけない分野はどこか?

【松尾】50年には、人口が9000万人を割るという試算がある。少子高齢化、人口減は、日本の最大の問題だ。いずれ国内市場は小さくなる。今から備える必要があるが、その前にシニアマーケットがある。健康食品、流動食、医薬品の需要は間違いなく伸びる。シニアマーケットの深掘りと、医薬での新興国開拓が長期的な課題だ。

――全体の売上高に占める海外比率の割合が、まだ低い。

【松尾】お菓子は、中国、アメリカ、アジア。この3つを重点にする。医薬のほうは、新興国の東南アジア、インド、アフリカになる。新興国は、医療・社会保障にお金を使い始めている。伸び率は高いが、そうはいってもまだ金額的には水準は低い。ただ、安価で基本的な薬剤では、チャンスはいっぱいある。同様にお菓子、乳製品の需要も、新興国では、やはり伸びている。

――利益率の高い医薬をどう伸ばすのか。

【松尾】ジェネリックの割合が年々大きくなっている。医薬品が、競争市場の菓子や乳業と決定的に違うのは、仕組みを国がつくっていることだ。新薬開発の成功確率は今や30000分の1。だからこそ、グローバル市場に打って出て、ジェネリックを伸ばすことが優先課題となる。

明治ホールディングス代表取締役社長 松尾正彦
1946年、福岡県生まれ。69年慶應義塾大学経済学部卒業、明治製菓(現明治ホールディングス)入社。2001年執行役員薬品国際事業本部長、02年取締役薬品生産本部長・薬品国際事業本部長、07年専務、11年Meiji Seikaファルマ社長、14年6月より現職。

出身高校:都立明正高校
長く在籍した部門
:国際部門
座右の書(または最近読んだ本)
:『永遠の0』
座右の銘
:幸せは歩いてこない
趣味
:釣り、ゴルフ

(國貞文隆=構成 原 貴彦=撮影)
関連記事
「アジア進出」JCB新社長 浜川一郎
「新興・途上国」争奪戦で日本企業が勝つには
総スカンを食った!明治HD統合計画の発表
人事部の告白「一流、二流、三流の分かれ目は」
会社で権力を握る人になるには、どうすべきか