ここまで財政状況が悪化すると、考えられる道筋としては財政破綻というガラガラポンが起き、昔の進駐軍と同じようにIMFが入ってきて、日本を変えるというものです。それで日本は再生します。オーストリアの経済学者シュンペーターの言うところの「創造的破壊」です。

だから今回、起こるのは第二次世界大戦と同じ敗戦。でも、戦争じゃないだけラッキーということでしょうね。

ガラガラポンが起きるとき、そんな国の通貨はだれも要らないので、かなり円が安くなってくるでしょう。ハイパーインフレとは、モノの値段が上がってお金の価値が下がることですから、こちらの場合でも円が安くなります。こうして円安が進めば、当然ながら長期金利は暴騰(国債価格は暴落)します。もともと日本の金融機関や年金は国債を大量に買い込んでいるので日本国民は間接的に大量に国債を保有していることになります。日本人の資産は極めて危険な状態にあるということです。

ですから、資産の一部をアメリカやオーストラリア、カナダ、スイス、イギリスなどといった先進国の外貨に替えておくことが重要だと私は訴え続けてきたわけです。円で持っていたら実質価値がゼロになりかねないが、外貨で持っていた部分はそれを免れます。つまり、そういった事態に備える保険という意味合いなのです。かつて資産分散といえば「株と土地と預金……」などと考えられてきましたが、今は他の先進国にお金を逃すことを第一に考えるべき。私自身、本当は日本から逃げ出すべきだけど、この国が大好きだから無理。せめて財産ぐらいは海外に避難させておこうという話です。

フジマキ・ジャパン社長 藤巻健史
1950年、東京都生まれ。一橋大学卒業後、三井信託銀行入行。MBA取得後、米モルガン銀行にてディーラーとして名を馳せる。その後、ジョージ・ソロス氏の助言役などを務める。
(構成=大西洋平)
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