組織からイノベーションは生まれない
実は、丸自身当初は理科好きではなかった。むしろ理系科目は不得意で、英語、国語などが好き。何より高校までは勉強をそっちのけでバスケットなどスポーツに熱中していた。当然、不勉強がたたり大学受験では10校すべてに落ちるという挫折を味わった。ところが、人間の運命は面白い。予備校に通う中、生物の先生の言葉に衝撃を受けた。「君らはいま教えたことを丸暗記しようとしているだろうが、実は全部嘘かもしれない。生物の世界は本当は全然わかっていない」と先生は言ったのだ。
丸は、それは面白いと思った。わからないことを学ぶのは楽しいと、それから生物学に熱中。予備校の全国模試で上位1ケタに入るほど生物学を学んだ。日本で初めて生命科学部を開講したのが東京薬科大学と知って、受験し無事に合格。さらに研究するために東京大学大学院農学生命科学研究科に進み、博士号を取得した。
丸は経営でイノベーションを起こすには「QPMI」が大切だという持論を持っている。Qはクエスチョンであり、社会的意義の高い崇高な疑問を持つこと。次にPはパッションとパーソナル。強い情熱を持つ個人がいることで、Mのミッションが明確になり、メンバーが集まる。その結果、I、すなわちイノベーションやインベンション(発明)が生まれるというわけだ。
丸はなにより、個人の問題意識と情熱を重視する。組織や集団からイノベーションは生まれない。無から有を生み出すのはいつも個である。(文中敬称略)
●代表者:丸 幸弘
●創業:2001年
●業種:科学技術分野に関する講座・講演の企画・運営および出版、研修、情報提供、調査・研究の受託など
●従業員:44名(派遣社員含む)
●年商:6億円(2013年度)
●本社:東京都新宿区
●ホームページ:http://lne.st/